記事 | PAYSAGE-お気に入りの食器たち

2025/06/21 05:44


食材や飲み物の味に深みがあるとき、それは単なる「素材の質の良さ」だけでは語り尽くせません。そこには「テロワール(terroir)」という概念が関係していることがあります。

テロワールとは?

「テロワール(terroir)」はフランス語で、直訳すると「土地」や「風土」を意味します。しかしこの言葉が意味する範囲は非常に広く、気候・土壌・地形・日照・降水量・微生物環境など、農作物を育てるすべての自然条件を含んでいます。さらに、その土地に根ざした人の営みもテロワールの一部とされることがあります。

テロワールは、特にワインの世界で使われる用語として有名です。たとえば、同じブドウ品種でも、フランス・ボルドー地方とイタリア・トスカーナではまったく異なる風味のワインができます。これは、それぞれの地域のテロワールが異なるためです。

テロワールがもたらす「個性」

現代の大量生産の中では、標準化された味や品質が重視される傾向があります。しかし、テロワールという概念は「唯一無二の個性」を評価する文化でもあります。

ワインだけでなく、チーズ、コーヒー、カカオ、はちみつ、オリーブオイルなどでもテロワールの影響が注目されています。たとえば、私たちPAYSAGEで取り扱っているエクストラバージンオリーブオイル「サレミ RE」も、イタリア・シチリア島の特定地域のオリーブから作られています。この土地特有の火山性土壌と地中海気候が、フルーティーで力強い香りを生み出しています。

テロワールは「文化」でもある

テロワールは単なる自然環境の話ではなく、その土地で長年培われてきた農法や加工技術といった「文化」の積み重ねも含んでいます。

たとえばポーランドの陶器=ポーリッシュポタリーにも、地域の土の質感や絵付けのモチーフ、窯の温度管理など、テロワール的な要素が色濃く表れています。機械では再現できない「その土地でしか生まれ得ない魅力」があるのです。

なぜ、いま「テロワール」に注目すべきなのか?

大量生産とグローバル化の時代には、どこでも手に入る均質な味わいが普及しました。しかしその一方で、「他にはない味わい」「本物を味わいたい」という欲求も高まりを見せています

テロワールの概念は、そんな現代の消費者にとって、単なる「産地表示」を超えた本物の価値を見極めるヒントになります。

日々の食卓にも、テロワールの意識を

テロワールというと専門的な印象を受けがちですが、実は日々の食卓でも意識できる身近な考え方です。たとえば…

  • ワインを選ぶときに「この地域の土壌ってどんな特徴があるんだろう」と調べてみる

  • 食器を選ぶときに「どんな文化背景からこの形や模様が生まれたのか」を知ってみる

  • オリーブオイルの香りを「土地の風景」と結びつけて味わってみる

そんなふうに、モノの背景にある「風土」を感じながら過ごす時間は、忙しい毎日の中でも豊かさをもたらしてくれます。


**テロワールは、味や香りの奥にある「見えない風景」**です。
食器、食材、調味料……どんな日常のアイテムにも、その背景には土地の記憶が刻まれています。PAYSAGEでは、そんな風土と文化のぬくもりを感じられる商品を厳選してお届けしています。

🔗 PAYSAGE - お気に入りの食器たち