記事 | PAYSAGE-お気に入りの食器たち

2025/06/14 05:36


中華料理のデザートの定番として親しまれている「ごま団子」。外はカリッと、中はもっちりとした食感で、老若男女問わず人気の高い一品です。

そして、中国ではこのごま団子を「芝麻球(チーマーチュウ)」と呼び、縁起物としても古くから親しまれています。

今回は、この「ごま団子」と「芝麻球」の違いに迫るとともに、日本各地におけるスタイルの違い、さらに、器選びの楽しみ方もご紹介します。食卓を豊かにしてくれるヒントになれば幸いです。


日本と中国、似て非なる「ごま団子」

まず、日本の中華料理店で提供される「ごま団子」は、もち米粉のやや厚めの生地に「こしあん」を包み、表面に白ごまをたっぷりまぶして揚げたものが主流です。外側は香ばしくカリッと、中はもっちりとした食感で、甘さも控えめ。食後のデザートとして親しみやすい味わいです。

一方、中国の「芝麻球(チーマーチュウ)」は、揚げると中が空洞になるほどよく膨らむのが特徴。皮が薄く、パリッと軽やかな口当たりです。中には、黒ごまペーストやピーナッツ餡など、多彩な餡が使われることもあり、地域や店によってバリエーションが豊かです。

日本のごま団子が「しっとり和風寄り」であるのに対し、中国の芝麻球は「軽やかで香ばしい点心系」といえるでしょう。


地域によって異なる「ごま団子」の表情

日本国内でも、ごま団子には地域ごとの個性があります。

たとえば、関東地方では、本格的な中華点心を出すお店も多く、香港風に近い大きく膨らんだ芝麻球を出す専門店も増えています。黒ごま餡入りや、ごまをたっぷりとまぶした芳ばしいタイプも人気です。

関西地方では、甘さ控えめのこしあんを包んだ和風アレンジが主流。皮が厚めで、冷めてももっちり感が残るのが特徴です。京都や大阪の中華料理店では、食後に温かいごま団子とともに中国茶を供されるなど、落ち着いた楽しみ方が定着しています。

長崎や九州地方では、中国との交易の歴史が色濃く残る地域だけに、本場中国に近い芝麻球もよく見られます。ピーナッツ餡や黒ごま餡を使ったものもあり、お祝い事の縁起物としての側面も強く残っています。


食器選びで広がる、ごま団子の楽しみ

ごま団子や芝麻球の魅力をさらに引き立てるのが「うつわの力」。温かいお茶と一緒にごま団子をいただくとき、どんな器に盛りつけるかで印象は大きく変わります。

ポーリッシュポタリーで“ほっこり時間”を

たとえば、ポーランドの陶器「ポーリッシュポタリー」。素朴な手描き模様と温かみのあるフォルムは、もっちりとしたごま団子によく似合います。特に、浅めのプレートやケーキ皿に盛りつけると、和洋中の境界を超えたやさしい世界観に。

濃紺の花模様やドット柄が、ごまの粒と呼応するように映えるのもポイントです。

北欧食器で洗練されたティータイムを

一方、北欧ブランドのシンプルで凛としたプレートにごま団子を乗せると、モダンな印象に変わります。例えば、白磁のプレートに黒ごまの芝麻球を盛ると、コントラストが美しく、ミニマルな北欧スタイルの魅力が引き立ちます。

北欧食器ならではの落ち着いたカラーリングや質感が、ごま団子の素朴さを引き立て、ちょっと特別なデザートタイムに変えてくれます。


芝麻球は「縁起物」でもある

中国では、芝麻球は「事事如意(すべてがうまくいく)」に通じる縁起物とされており、旧正月や結婚式、お祝い事の食卓に欠かせない存在です。丸く膨らんだ形は、「運気がふくらむ」ことを象徴しているとも言われています。

そうした背景を知ることで、ごま団子が「単なる甘いもの」ではなく、「幸福を願う食文化の一端」だと感じられるのではないでしょうか。


まとめ:味の違い+器の違いで、楽しみは倍増

ごま団子や芝麻球は、見た目こそ似ていても、文化的背景、材料、食感、そして地域によるバリエーションなど、奥深い世界が広がっています。そこに「どんな器に盛りつけるか」という視点を加えると、楽しみ方はさらに広がります。

お気に入りのうつわで、家庭でも手軽に楽しめるアジアンスイーツ。温かいお茶とともに、ごま団子で心もふんわりとほどけるひとときを、ぜひ味わってみてください。


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