記事 | PAYSAGE-お気に入りの食器たち

2025/05/22 05:33


北欧の繊細な美しさを纏う《イッタラ カステヘルミ》と、ドイツの職人技が光る《ナハトマン》のガラスプレート。どちらも透明感ある美しさを持ちながら、全く異なる個性を放つプレートたちです。

今回は、それぞれのブランドの歴史とデザインの特徴、料理との相性に加えて、意外と知られていない「ガラスの種類(有鉛・無鉛)」についても解説します。プレート選びの参考になれば幸いです。


フィンランド生まれの「カステヘルミ」──静謐な北欧の自然美

1964年、フィンランドの名デザイナー・オイバ・トイッカによって生み出された《カステヘルミ》は、フィンランド語で「露のしずく」を意味します。その名の通り、大小のガラス粒が繊細に並んだデザインは、朝露が草原にきらめく様を思わせます。

一度は廃盤となったものの、2010年に復刻。今ではイッタラの代表的なシリーズとして、多くの食卓を彩っています。

カステヘルミは無鉛ガラスでつくられており、透明感が高く軽やかな印象です。鉛を含まないため、日常使いにも安心で、食洗機にも対応しています。

サイズ展開は17cm〜31.5cm、カラーはクリア、リネン、ウルトラマリンブルーなど。前菜やサラダ、和菓子や果物など、繊細な料理と相性が良く、北欧らしいナチュラルで詩的な雰囲気を食卓に添えてくれます。


ドイツの誇り「ナハトマン」──華やかさと重厚感の共存

《ナハトマン》は1834年、ドイツ・バイエルン地方に創業した老舗ガラスブランド。現在はワイングラスで有名なリーデルのグループに属し、伝統と革新を融合したプロダクトを展開しています。

ナハトマンの代表作「ボサノバ」シリーズは、編み込み模様のような立体感のあるデザインが特徴。ガラスの持つ光の屈折と重厚な質感が料理をより華やかに見せてくれます。

このナハトマンには、有鉛クリスタルガラスが使用されているものも多く、鉛を加えることでガラスにより高い透明度と輝き、そして重みが生まれます。鉛といっても日常使用で問題ないレベルに管理されており、食品衛生法にも適合しています(※商品によっては無鉛クリスタル仕様のものもあり)。その輝きは、特に照明の下での演出効果が絶大です。

サイズは23cm〜30cmほどの円形・角形が中心。チーズやシャルキュトリー、グリル料理やケーキなど、しっかりとしたボリューム感のあるメニューにぴったりです。


「有鉛ガラス」と「無鉛ガラス」の違いとは?

ガラス製品を選ぶ際に知っておきたいのが、「有鉛ガラス(クリスタル)」と「無鉛ガラス」の違いです。

有鉛ガラス(クリスタルガラス)

  • 鉛酸化物(通常20〜30%)を含むガラス

  • 非常に高い屈折率を持ち、美しい輝きと透明感が得られる

  • 重量感があり、高級感・格式を演出しやすい

  • 加工がしやすく、カッティングや模様の表現に向いている

  • 食品との長時間接触には注意が必要な製品も(ただし大手ブランド製品は安全基準をクリア)

無鉛ガラス(ソーダガラスなど)

  • 鉛を含まず、安全性が高い

  • 軽くて扱いやすく、日常使いに向いている

  • 輝きは有鉛クリスタルよりやや劣るが、すっきりした美しさが魅力

  • リサイクルしやすく、環境面でも評価が高い

つまり、毎日気軽に使いたいなら無鉛のカステヘルミ、華やかさを演出したいなら有鉛のナハトマンという棲み分けが理にかなっています。


それぞれの「違い」と「使い分け」

カステヘルミは、自然光に映える柔らかな輝きと軽やかさが特徴。朝食やティータイムなど、日常に溶け込む使い方がおすすめです。和の食卓にも驚くほどなじみます。

ナハトマンは、光を受けて宝石のように輝く美しさと、手に持ったときの存在感が魅力。ディナーやおもてなし、特別な日の食卓に力強く映えます。


まとめ:目的とシーンで選ぶ、あなたの一枚

繊細で静謐な「カステヘルミ」、堂々たる輝きを持つ「ナハトマン」。どちらもガラスプレートの名品ですが、その個性はまったく異なります。

  • 日常使い+透明感の美しさ → カステヘルミ(無鉛)

  • 演出効果+華やかさ → ナハトマン(有鉛クリスタル)

まずは一枚、お気に入りを迎えてみませんか?そして、その日の気分や料理にあわせて使い分けていくうちに、テーブルコーディネートの楽しさがぐっと広がるはずです。


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