記事 | PAYSAGE-お気に入りの食器たち

2025/04/11 05:34

フィンランドを代表する北欧食器ブランド「イッタラ(Iittala)」。その美しい佇まいと機能美で世界中にファンを持つこのブランドには、長年にわたり一貫して守り続けている信念があります。そのひとつが、「無鉛ガラス(Lead-free Glass)」へのこだわりです。

本記事では、イッタラがなぜ無鉛ガラスにこだわるのか、その背景にある歴史と哲学、そして無鉛ガラスならではの魅力について詳しくご紹介します。


無鉛ガラスとは?

まず「無鉛ガラス」とは、その名の通り鉛(Pb)を含まないガラスのことを指します。従来のガラス製品、特に高級感のあるクリスタルガラスには鉛が含まれており、透明度や重厚感、音の響きなどに貢献していました。

しかし、鉛には人体や環境への悪影響が懸念されており、近年では持続可能性や安全性の観点から、鉛を使用しない製造方法へとシフトするメーカーが増えています。


イッタラと無鉛ガラスの歴史

イッタラが無鉛ガラスを採用し始めたのは、1950年代以降。当時のヨーロッパではまだ鉛入りのクリスタルが主流でしたが、イッタラは「日常使いのためのガラス製品」を目指し、あえて鉛を使用しないガラスの開発に取り組みました。

特に、**カイ・フランク(Kaj Franck)**などのデザイナーの存在が大きく、「美しいだけでなく、毎日の暮らしで安心して使える器」であることを大切にしていたのです。

この理念は現在でも続いており、イッタラのガラス製品はすべて鉛フリーで作られています。


なぜイッタラは無鉛ガラスにこだわるのか?

1. 日常使いにふさわしい安全性

イッタラの製品は、日々の食卓で使われることを前提としています。鉛が溶け出す可能性のある製品は、食品と直接触れるものとして適切ではないとの判断から、早期に無鉛化を進めました。

2. サステナビリティ(持続可能性)の追求

北欧の思想として根付いている「自然との共生」。環境への配慮はイッタラの根本にあり、鉛のような有害物質を使わない製造工程は、地球にも優しい選択です。

3. 熟練職人による技術力

無鉛ガラスは鉛入りに比べて加工が難しいとされますが、イッタラではフィンランドの熟練職人たちの手仕事により、高い透明度と美しいフォルムを両立させています。


無鉛ガラスの特徴と魅力

■ 高い透明感と繊細な美しさ

鉛を使わなくても、イッタラのガラスは驚くほど透明でクリア。特に人気の「カルティオ」や「アイノ・アアルト」シリーズのグラスは、色ガラスでありながらどこか軽やかで柔らかな印象を与えてくれます。

■ 軽量で扱いやすい

鉛入りガラスに比べて軽く、毎日使っても疲れにくいのも特徴。さらに食洗機にも対応しており、忙しい日常の中でも気兼ねなく使えるのが嬉しいポイントです。

■ 経年変化に強く、劣化しにくい

無鉛ガラスは長く使っても白く曇ったり変色したりしにくく、美しい状態を保ちやすいのも魅力です。


北欧食器としてのイッタラの価値

デザインと機能が共存する」という北欧デザインの理念を体現するイッタラ。無鉛ガラスの採用は、ただの素材選びではなく、人と環境への優しさをカタチにした選択です。

食卓に並ぶガラス一つひとつにも、デザインだけでなく、使う人への思いやりと哲学が詰まっていること。それこそが、イッタラの持つ真の魅力ではないでしょうか。


まとめ

イッタラのガラス製品に触れるたびに感じる、どこか心落ち着く存在感。その背景には、鉛を使わないという選択が静かに息づいています。

北欧食器を選ぶとき、デザインだけでなく「どう作られているのか」まで意識してみると、より深くその魅力を感じられるはずです。

無鉛ガラスという“見えないこだわり”を知った上で、あなたもイッタラのグラスを手に取ってみてはいかがでしょうか。


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