記事 | PAYSAGE-お気に入りの食器たち
2025/04/08 05:28
北欧フィンランドのブランドとして知られる"アラビア(Arabia)"。その中でも特に人気が高いのが、ムーミンのイラストが描かれたマグカップシリーズです。北欧らしい温もりとデザイン性で多くのファンを持つアラビアの食器ですが、近年では「これは本当にフィンランド製なの?」と気になる方も多いのではないでしょうか。
今回は、アラビア食器の製造国に関する現状と、特に人気のムーミンマグについて、原産国や製造の移り変わりを詳しくご紹介します。
現在もフィンランドで作られているアラビア食器は?
結論から言えば、アラビアの現行品でフィンランド国内で製造されているアイテムはごくわずかです。
かつてはフィンランド・ヘルシンキの"ヘルットニエミ工場(Arabia工場)"でアラビアのほとんどの製品が作られていましたが、2000年代に入り、Fiskarsグループ傘下に入ったことにより、生産の多くが国外、特にタイ工場に移されています。
現在もフィンランド国内で作られているのは、以下のような一部のアートピースや復刻版、限定アイテムに限られます:
アーティストとのコラボによる小ロット作品
限定復刻のヴィンテージデザイン(例:手作業の装飾が必要なアイテム)
アラビアミュージアムやギャラリー向けの特注品
ただし、いずれも一般流通は少なく、店頭や通販で見かける通常のアラビア製品のほとんどはフィンランド製ではないと考えてよいでしょう。
ムーミンマグの原産国と製造の変遷
人気のムーミンマグについても、時代によって製造国が異なります。
▶ 1. 初期(1990〜2000年代前半)
製造国:フィンランド(ヘルットニエミ工場)
裏面に「ARABIA FINLAND」や「MADE IN FINLAND」の刻印あり
トーベ・ヤンソンの原画を元に、トーベ・スロッテ(Tove Slotte)がデザイン
多くのモデルが廃盤となっており、コレクター市場で高額取引されることも
▶ 2. 中期(2000年代後半〜2010年代前半)
一部の生産がタイへ移行
同じデザインでも、フィンランド製とタイ製が混在して存在する時期
▶ 3. 現在(2020年代)
製造国:主にタイ
Fiskarsグループによるグローバル生産体制により、ほとんどのムーミンマグがタイ製
裏面には"MADE IN THAILAND"の記載があり、品質も安定
タイ製といっても、デザインは今もフィンランド国内で行われており、品質基準も高水準です。電子レンジ・食洗機対応で、実用性には全く問題ありません。
フィンランド製にこだわるならヴィンテージを
「本国フィンランド製にこだわりたい」という方には、1990〜2000年代のヴィンテージムーミンマグをおすすめします。
国内外のヴィンテージショップ、または個人取引(メルカリ・ヤフオクなど)で入手可能で、裏面の刻印で見分けることができます。
「ARABIA FINLAND」や「MADE IN FINLAND」と記載あり
製造年代やコンディションにより価格は変動
まとめ
現在のアラビア社の食器は、そのほとんどがタイ製となっていますが、デザインや品質には変わらぬ魅力があります。
ただし、フィンランド製ならではの雰囲気や価値を求める場合は、1990年代〜2000年代初期のヴィンテージ品をチェックしてみるとよいでしょう。
今後もムーミンの魅力を感じられる素敵な食器との出会いがありますように。