記事 | PAYSAGE-お気に入りの食器たち
2025/03/28 06:11

北欧食器と聞くと、どこかやさしくて温かい雰囲気を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。そのシンプルで飽きのこないデザインは、世界中で長く愛されてきました。一方、日本にも「民藝(みんげい)」という、美しい日用品を大切にする文化があります。
今回は、そんな北欧食器が体現する「民主的デザイン」と、日本の「民藝」に共通する価値観を見つめながら、暮らしをもっと心地よく彩るヒントをご紹介します。
民藝って、どんなもの?
「民藝(民衆的工芸)」とは、柳宗悦(やなぎむねよし)によって提唱された考え方で、名もなき職人たちが作る日常の道具にこそ、美しさが宿るという思想です。派手さや華美な装飾ではなく、使いやすさや丈夫さ、そして素朴な美しさが大切にされています。
北欧の「民主的デザイン」って?
北欧のデザインには「民主的デザイン(Democratic Design)」という考え方があります。これは「誰もが手に取りやすい価格で、優れたデザインの製品を使えるべきだ」という理念です。機能性・美しさ・サステナビリティ(持続可能性)などの要素を、バランスよく大切にしています。
共通点① 毎日の暮らしの中にある美しさ
北欧食器も民藝も、特別な日のためだけではなく、毎日の生活を豊かにすることを目指しています。例えば、アラビアのティーマやイッタラのオリゴといったシリーズは、シンプルで飽きが来ず、日常にさりげなく彩りを添えてくれます。
共通点② 手仕事のぬくもりと実用性
民藝は手仕事の温かみを大切にしていますが、北欧のプロダクトもまた、量産されていてもどこか人の手を感じさせるような、優しい風合いを持っています。実用的でありながら、触れたときにほっとするような心地よさがあります。
共通点③ 長く使える、環境にやさしいものづくり
どちらも、長く愛用できる丈夫さや、自然と調和した素材づかいが特徴です。北欧では環境に配慮した製品づくりが進められており、日本の民藝もまた「使い捨てではなく、長く大切に使う」ことを前提としたデザインが多く見られます。
暮らしの中に、北欧と民藝のエッセンスを
北欧食器や民藝の器を暮らしに取り入れることで、毎日の食卓や生活空間がぐっと豊かになります。見た目の美しさだけでなく、その背景にある「ものづくりの想い」に目を向けて選んでみると、きっとお気に入りの器が見つかるはずです。
忙しい日々の中でも、ふとした瞬間に器のやさしさや美しさを感じられる――そんな時間をつくるお手伝いができたらうれしいです。