記事 | PAYSAGE-お気に入りの食器たち
2025/03/03 06:16
陶器の食器を選ぶとき、「オーブン対応かどうか」だけでなく、「電子レンジで使えるか」も気になるポイントですよね。同じ陶器でも、オーブンや電子レンジで使えるものと使えないものがあります。その違いは、素材や製造工程に関係しています。
今回は、オーブン対応と非対応の陶器の違いに加えて、電子レンジとの関係についても解説します。
1. 素材の違い
オーブン対応の陶器には、耐熱性に優れた「耐熱陶土」が使用されます。この陶土は熱による膨張や収縮が少なく、急激な温度変化に強い性質を持っています。これに対して、オーブン非対応の陶器は通常の陶土で作られ、急な加熱による割れや破損のリスクがあります。
また、電子レンジの使用についても、陶器の素材が関係しています。オーブン対応の陶器は、電子レンジでも問題なく使えるものが多いですが、一部の陶器には金属成分が含まれている場合があり、電子レンジでは発火や火花の原因になることがあります。
2. 焼成温度の違い
オーブン対応の陶器は、通常よりも高温(約1,200〜1,300℃)で焼成されることで、素地が緻密になり、水分を吸収しにくくなります。これにより、急激な温度変化に強くなり、オーブンでの使用が可能になります。
一方、非対応の陶器は1,000〜1,200℃程度の焼成温度で作られることが多く、吸水率が高めです。そのため、加熱時に内部の水分が膨張し、破損することがあります。電子レンジの場合も、水分を多く含む陶器は加熱中にひび割れや破損の原因となるため注意が必要です。
3. 釉薬の違い
陶器の表面を覆う釉薬にも違いがあります。オーブン対応の陶器には、熱膨張に強い耐熱釉薬が使用されます。これにより、温度変化によるひび割れが起こりにくくなっています。
一方、オーブン非対応の陶器では、装飾性を重視した釉薬が使われることが多く、熱衝撃によってひび割れや剥がれが生じることがあります。電子レンジについても、釉薬の種類によっては、加熱によってひびが入る場合があるため、長時間の加熱は避けたほうが良いでしょう。
4. 厚みと成形方法
オーブン対応の陶器は、一般的に厚みがあり、熱を均等に伝える設計になっています。これにより、オーブン内での急激な温度変化にも耐えやすくなっています。一方、非対応の陶器は軽量化のために薄く作られているものも多く、熱に対する耐久性が低い場合があります。
電子レンジでは、薄い陶器よりも厚みのある陶器のほうが均一に加熱されやすいですが、陶器が持つ水分の量によっては急激に熱が加わることで割れることもあります。
5. 吸水率の違い
陶器の吸水率も、オーブンや電子レンジの使用可否に関係します。オーブン対応の陶器は吸水率が低く(1%以下)、内部に水分を含まないため、加熱しても膨張しにくく、割れにくいのが特徴です。
一方、吸水率の高い陶器(5%以上)は、内部に水分を吸収しやすく、加熱時に膨張して破損するリスクがあります。特に電子レンジで加熱する際、水分を多く含む陶器は内部で蒸気が発生し、ひび割れの原因になることがあります。
6. 金属成分の有無と電子レンジの使用可否
電子レンジでは、陶器に金属成分が含まれているかどうかが重要なポイントになります。
例えば、次のような陶器は電子レンジの使用がNGです。
- 金や銀などの金属装飾がある陶器(電子レンジの電磁波で発火・火花の原因になる)
- 一部の黒っぽい陶器(鉄分を多く含み、電子レンジで過剰に熱を持つことがある)
オーブン対応の陶器は、基本的に電子レンジでも使用できることが多いですが、装飾に金属が含まれている場合は注意が必要です。
7. 耐熱テストの有無
オーブン対応の陶器は、製造段階で耐熱テストが行われています。一定の温度まで加熱し、急冷・急加熱による破損のリスクがないかをチェックしたうえで、「オーブン使用可」と表記されます。
一方、オーブン非対応の陶器はそのようなテストが行われていないため、安全性が保証されていません。電子レンジの使用についても、メーカーが「電子レンジ可」と明記しているかどうかを確認するのが安心です。
まとめ
オーブン対応の陶器は、耐熱性のある素材を使用し、高温で焼成され、特別な釉薬が使われています。これにより、急激な温度変化にも耐えられる食器となります。ポーリッシュポタリーもその一例で、オーブン料理に活躍する丈夫な陶器として知られています。
また、電子レンジでの使用に関しては、基本的にはオーブン対応の陶器は問題なく使えますが、装飾に金属が含まれているものや、吸水率の高い陶器は注意が必要です。
お気に入りの食器を長く愛用するためにも、それぞれの特性を理解して、用途に合ったものを選びましょう。
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