記事 | PAYSAGE-お気に入りの食器たち
2025/02/27 06:06
スウェーデンのデザイン界を代表するスティグ・リンドベリ(Stig Lindberg, 1916–1982)。彼の名前を知らなくても、緑の葉が並ぶ「Berså(ベルサ)」のデザインを目にしたことがある人は多いでしょう。リンドベリは、スウェーデンの名窯グスタフスベリ(Gustavsberg)で活躍し、食器や陶器だけでなく、テキスタイルや絵本のイラストレーションまで手掛けたマルチな才能の持ち主でした。本記事では、彼の生涯と代表作、そして今なお愛され続ける理由についてご紹介します。
スティグ・リンドベリの生涯
1. グスタフスベリとの出会い
スティグ・リンドベリは、1916年にスウェーデンのウメオに生まれました。美術学校で学んだ後、1937年にグスタフスベリに入社。そこで彼は、当時のアートディレクターであるウィルヘルム・コーゲ(Wilhelm Kåge)のもとで修行を積みました。
リンドベリの才能はすぐに開花し、1940年代にはグスタフスベリの主要デザイナーの一人として活躍。1950年にはコーゲの後任として、グスタフスベリのアートディレクターに就任しました。この時期から1970年代にかけて、リンドベリは数々の名作を生み出し、グスタフスベリの黄金時代を築きました。
2. 独自のスタイルの確立
リンドベリのデザインは、遊び心のあるパターンとユニークなフォルムが特徴です。彼は伝統的なスタイルにとらわれず、時代の流れを取り入れながらも、独自の世界観を作り上げました。
例えば、幾何学模様や自然モチーフを大胆に使ったデザインは、モダンでありながら温かみを感じさせます。彼の作品は、ミッドセンチュリーのスカンジナビアデザインを象徴する存在となりました。
スティグ・リンドベリの代表作
1. Berså(ベルサ)— 北欧デザインのアイコン
「Berså(ベルサ)」は、緑の葉が規則的に並ぶデザインが特徴で、スウェーデンを代表するアイコン的な存在です。
特徴:
- 1961年に発表されたシリーズで、現在も復刻版が販売されている。
- レトロでありながらモダンなデザインは、どんな食卓にも馴染む。
- シンプルな形状のカップやプレートに映える、鮮やかなグリーンのパターン。
北欧の自然をイメージさせるこのデザインは、長年にわたって愛され続けています。
2. Prunus(プルーヌス)— 青い実の可憐なデザイン
「Prunus(プルーヌス)」は、小さな青いプラムの実が並ぶ可愛らしいデザイン。ベルサと同じく、食卓に爽やかな雰囲気をもたらします。
特徴:
- 1960年代にデザインされた人気シリーズ。
- 青と白のコントラストが美しく、和食器とも相性が良い。
- プレートやカップだけでなく、ボウルやピッチャーも人気。
ベルサと並ぶ人気のデザインで、こちらも復刻版が販売されています。
3. Spisa Ribb(スピーサ・リブ)— ミッドセンチュリーの名作
「Spisa Ribb(スピーサ・リブ)」は、シンプルな茶色のラインが入ったモノトーンのデザイン。ミッドセンチュリーのモダンな雰囲気を持ち、今でも人気の高いシリーズです。
特徴:
- 1955年に発表された、スウェーデン家庭向けのシリーズ。
- 飽きのこないシンプルなデザインで、どんな料理にも合わせやすい。
- 直線的なデザインが、当時のモダンなキッチンスタイルにマッチ。
スピーサ・リブは、当時のスウェーデンの家庭で広く使われたことから、「国民的デザイン」とも言われています。
スティグ・リンドベリが愛される理由
1. ユーモアと遊び心のあるデザイン
リンドベリの作品には、シンプルな形の中にユーモアや遊び心が感じられます。例えば、「Faience(ファイアンス)」シリーズには、ユニークな形や鮮やかな色彩の装飾が施されており、見る人を楽しませてくれます。
2. 世代を超えて受け継がれる魅力
ベルサやプルーヌス、スピーサ・リブなどの代表作は、1950〜60年代にデザインされたにもかかわらず、今もなお人気が衰えることはありません。ヴィンテージ品はコレクターにとって憧れの的となり、復刻版は現代のライフスタイルにも溶け込んでいます。
3. 北欧デザインのパイオニア
リンドベリのデザインは、スカンジナビアデザインの原点とも言えるスタイルです。機能性と美しさを兼ね備えた彼の作品は、北欧デザインを世界に広める大きな役割を果たしました。
まとめ
スティグ・リンドベリは、スウェーデンが誇るデザイナーとして、今もなお多くの人々に愛されています。彼のデザインは、レトロでありながら新しさを感じさせ、どんなインテリアにも自然と馴染む魅力を持っています。
もし北欧デザインに興味があるなら、ぜひスティグ・リンドベリの作品を手に取ってみてください。日々の暮らしに、ちょっとした遊び心と北欧のぬくもりを加えてくれることでしょう。