記事 | PAYSAGE-お気に入りの食器たち

2025/06/24 05:54


― 北欧食器と楽しむ“日本の水”の価値を見直す ―


1. 世界44位?ちょっと意外な日本の順位

2024年版の「環境パフォーマンス指数(EPI)」によると、日本の「飲料水の安全性」スコアは76.7点で世界44位。アメリカやドイツ、イギリスなどは100点満点の国が多く、まるで日本の水道水が“安全ではない”かのようにも見えてしまいます。

しかし、この数字の背景をよく見てみると、日本の水道水の評価が低いのは水そのものが悪いわけではなく、評価の仕組みや統計の扱い方に理由があることが分かります。


2. EPIの「飲料水安全性」スコアとは何を評価しているのか?

このスコアは、水そのものの味や品質を評価しているわけではありません。
指標となっているのは、「Unsafe drinking water(安全でない飲料水)」によって引き起こされた健康被害の大きさ、つまり**DALY(障害調整生命年)**です。

簡単にいえば、「水が原因で病気になったり、寿命が短くなったりした人の数」をもとにスコア化されているということです。
この評価方法では、たとえ健康被害がわずかでも
“ゼロではない”というだけで減点対象になる
のです。


3. 日本のスコアが低めになる3つの背景

日本の水道水は安全であるにも関わらず、なぜスコアが高くならないのか?
それには主に3つの理由があります。

(1)全国に細かく分かれた水道事業体

日本では約1,700もの市町村がそれぞれ水道を管理しています。都市部では最新の浄水設備が導入されていますが、人口の少ない地方では老朽化した設備や簡易水道も多く、時折軽微なトラブル(濁り・サビなど)が発生することがあります。

(2)水源の違いと塩素処理の必要性

熊本市のように地下水が豊富な地域では塩素を抑えた「おいしい水」が供給されますが、東京のように河川水を利用する地域では、雑菌リスクに対応するため塩素を多く投入せざるを得ません。安全のための処理が“におい”や“味”に影響してしまうことも。

(3)井戸水や簡易水道の存在

農村部や離島では、公共水道ではなく井戸や簡易水道を使っている家庭もあります。これらは自己管理であり、年1回の水質検査義務はあるものの、十分な対応がされていない場合もあるため、極めてまれに健康被害が発生することがあるのです。


4. 上位の国々は徹底管理されているのか?

「じゃあスコア100点の国々は、日本より水道管理が優れているのか?」というと、必ずしもそうではありません

たとえば北欧や西欧の上位国では、次のような特徴があります。

  • 人口が少なく、水道網の管理がしやすい

  • 氷河水や地下水など、自然の状態で高品質な水源が豊富

  • 健康被害がほぼゼロなので統計上有利

  • 水道利用以外(井戸・雨水)の使用が少なく、全体が均質

つまり、自然環境や統計上の条件が評価に有利に働いているだけであって、日本より厳格な管理をしているとは限りません。


5. 日本の公衆衛生統計はむしろ「整っている」から評価が下がる?

ここが重要な点です。
「日本は公衆衛生統計が整っていないからスコアが低い」と誤解されがちですが、実際はその逆です。

日本は、厚生労働省の水道統計や感染症調査に基づき、小さな異常でも詳細に報告・集計する体制が整っています。
そのため、ごく軽微な健康影響も数値として反映され、統計的には“被害がある”とカウントされてしまうのです。

一方、他国では「無症状」や「軽微な下痢」程度では報告されないことも多く、統計上“被害ゼロ”とされやすい構造になっています。


6. 日本の水は、実は世界トップレベルに安心・安全

厚生労働省の定める水道水質基準は、世界保健機関(WHO)のガイドラインと同等、またはそれ以上に厳しいものです。
塩素濃度、残留農薬、重金属、有機物など、51項目以上の基準に基づいて常時監視されています。

また、日本の水は「軟水」が主流で、コーヒーやお茶の味を引き立て、料理にも適しています。
万一の災害時にも、全国の自治体が連携して迅速な応急給水体制を確保する仕組みも整っており、暮らしに密着した安全性は世界でもトップクラスです。


7. 安心の水とお気に入りの器で、暮らしをもっと豊かに

せっかくの高品質な水だからこそ、お気に入りの器と一緒に楽しんでみませんか?

北欧のガラスピッチャーに冷たい水を注げば、透明感とともに涼やかな食卓を演出できますし、ポーリッシュポタリーのマグカップに軟水で淹れた紅茶を注げば、香りも味わいもふっくらと広がります。

エクストラバージンオリーブオイルと一緒にパンを楽しむときも、軟水の穏やかな口当たりがオイルのフルーティーさを引き立ててくれます。


8. まとめ:ランキングだけで、水の価値を見失わないために

  • 日本の水道水は、世界でも最高水準の安全性と安定供給を誇るインフラです。

  • 国際的なスコアは、評価の仕組みや統計の扱い方で左右される相対的なものに過ぎません。

  • 私たちの毎日を支えている「水」は、もっと自信をもっていい存在。

  • そしてその水を、お気に入りの器で楽しむことが、暮らしの中の小さな贅沢になるのです。

PAYSAGE - お気に入りの食器たち